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戸田裕介(とだ ゆうすけ)さんに質問!

彫刻家になるってどんなこと?

○なぜ彫刻家になろうと思ったの?それはいつ?

小学生の頃から画家になりたいと思っていました。絵の勉強を始めて数年後に、もっと面白いものに出会いました。それが彫刻でした。そのとき初めて彫刻家になりたいと思いました。20歳の時です。「なるぞっ!」って決心したのは25-6歳のときです。

○作品をはじめてつくったのはいつ?どんな作品なの?

小学校4年生のときに粘土で作った「サイ」(動物)。先生に褒められて良い気持ちになりました。それが最初の作品かな。今やっていることに近いのは、小学校5年生のとき、放課後、近所の川に寄り道して河原の石を並べて作った高さ40cm長さ3mくらいの「ダム」です。何度もくずれては作り直し、完成までに1カ月くらいかかりました。こちらは、近所のおじさんに見つかってこっぴどく叱られました。
彫刻として最初に発表した作品は、蝉(せみ)の頭の形をイメージして彫った大理石の彫刻です。美術大学の1年生の時です。

○なぜ作品をつくるの?これからもつくりつづけますか?

「作るのが好きだからです。」と答えたいのですが、ときには休みたいのに作っている日もあります。だから、「好きだから」だけではなぜ作品を作るのかの説明はつかないみたいです。では、なぜ作るのか?本当のところ、実は私にもよくわかりません。
でも・・・ん?・だから・・・、明日は明日の風が吹く。

○彫刻家に必要なことって?

「1に体力、2に体力、3,4が無くて5にセンス。」若い頃出会った美術の先生の1人がそう教えて下さいました。あとは、少しの知力・根気・呑気さ。「馬鹿じゃ出来ない、賢きゃ尚さら出来ない。」これも別の先生の言葉です。何はともあれ健康が一番。きっとほかの仕事と同じです。

○もし彫刻家じゃなかったら何をしていたと思いますか?

子どもの頃は、画家か昆虫博士になりたいと思っていました。今、なってみたかったなって思っているのは、詩人か小説家です。

つくるってどんなこと?

○知識や技術はどこで知るの?

作品を作る知識は、読書・美術館での作品鑑賞・友人との会話・テレビやYoutube…色々なものから学んでいます。作品を作る技術は、小中高の図画工作や美術の授業・美術大学の先輩や仲間との制作の中で、また、彫刻家としての師匠の制作を手伝う中で学びました。そして今日も、いろんな事を学んでいます。

○どんな場所でつくるの?

アトリエや工房です。みなさんのイメージしやすい似ている場所は、金属加工業者さんや石屋さんの街中にある工場かな。制作の一番最初の工程であるアイデアやプランをスケッチするのは、通勤電車のなかや食事中のテーブルの上など、四六時中どこでもです。紙とペンは、いつも持ち歩いています。

○作品はひとりでつくるの?

小さな彫刻は1人で制作します。大きな彫刻作品は、大勢の人に協力してもらいながら制作します。第28回UBEビエンナーレ出品作の制作では、6人の人に協力してもらいました。6人の中の1人は、もう20年以上私の制作を助けてくれている人です。
 ほかにも、採石場で働く人たち、金属材料を日本へ運ぶ貨物船の船長さんや船員さん、職人さん、トラックやクレーンの運転手さん、何種類もの道具や機械を作ってくれる人、それを売ってくれる人。作品設置を準備してくれる人、芝生の整備をしてくれる人、作業日程を調整してくれる人。彫刻は、私も知らない人たちを含め、たくさんの人たちに助けられながら大勢で制作します。

○どんなペースでつくるの?

絵はほぼ毎日描きます。「彫刻が出来上がる頻度」は色々です。彫刻には、1点制作するに8カ月かかるものもあれば、1時間で出来上がる物もあります。かかる時間はバラバラです。UBEビエンナーレに出品したような大きな作品制作に限って答えるなら、今はもう、1年に2つか3つつくるのが限界です。

○今までに何作品くらいつくったの?

UBEビエンナーレに出品したくらいのサイズの物は40個くらいでしょうか・・・。小さいものを数えたら・・・、んー、数えたことがありません。m(_ _)m 誰か、数えてくれませんか?

○テーマは、いつ、どう決まるの?

私の作るほとんどの作品には共通したテーマがいくつかあります。20歳の頃から全く変わっていないものもあります。
(戸田裕介個人公式ページURL: todayusuke.comに作品の写真がいくつかあります。良かったら見て下さい。)

○アイデアは、いつ、どう決まるの?

朝起きたら「全て決まっていた」ということもありますが、多くの場合、アイデアは、姿が見えない「種(たね)」みたいなものです。そんな、モヤモヤしたアイデアの「種」を、紙の上に描いてみたり粘土や金属や石を使って目の前に「見える化」します。そこから更に、あーでもない、こーでもないと「制作しながら」、アイデアの「種」を大きな木に育てます。私の場合は、アイデアも作り出し育て上げる物です。

○素材や形は、いつ、どう決まるの?

私は作品制作で、ほぼ例外なく2種類以上の素材を使います。素材は、質感・色・重さ・大きさ、硬さなど、その組み合わせやバランスが調和する(あるいはわざとケンカさせるか)かどうかを考えて選びます。形は、私が決めると言うよりも、材料を加工しながら自然に決まっていきます。材料の組み合わせや制作の仕組みを良い感じに整えるのが、私の仕事です。

○タイトルは、いつ、どう決まるの?

タイトルを決めるのは、作品(やマケット)が完成したあとです。または、作品がほぼ出来上がってきた頃、作品を前にして考えて考えて考えて決めます。彫刻(やマケット)が出来る前にタイトルが決まっていたことは、これまで2-3回しかありません。

○どこから作り始めるの?

1つの球からです。その球をどこに使うかは、その時点では未だ決まっていません。

○「完成!」はどう決めるの?

「よし。完成したな。」と思ったとき。

○材料はどうやって集めるの?

お店に買いに行くこともあれば、ネット通販で買うこともあります。自分で産地に出向いて選ぶ必要があるときには、国内はもちろん、世界中へ探しに行きます。

○どんな道具を使うの?

クレーン車や高所作業車やトラック。溶接機や削岩機から鉛筆や消しゴムまでいろんな道具を使います。ホームセンターや金物屋さんで売られているような道具なら、何でも使います。それから、私は、粘土、陶、石膏、セメント、木、石、金属、プラスチック、ビニル、塗料、昆虫、植物・・・、あらゆるものを彫刻の材料として自分自身で制作するので、使う道具がほかの人より多いです。

○つくる時間はどれくらい?

第28回UBEビエンナーレに出品した作品は、合計8カ月くらいかかりました。

○つくる時はどんな気分なの?

楽しい。同時に、たいへん。

○つくる費用はどのくらい?

内緒です。国産高級車が買えるかな。

○つくる時に気をつけたり工夫してることは?

制作時間もそれ以外の時間も、毎日の生活を出来るだけ規則正しくすることです。
「しっかり食べて、しっかり眠る」。出来るだけ健康な身体・精神で「一生懸命、正直に精一杯仕事する」。

○つくる前後で何か変化があるの?また、それはどのようなことですか?

大きな作品の制作では、制作後、必ず体重が減っています。

○つくるってどんなこと?

制作は「私が生きている」ということそのものです。作品は、私が死んでいなくなったら制作は出来ません。私が死んだ後も、私の考えや気持ちを、まだ会ったことも無いどこかの誰かが、作品を通して共有したり共感しもらったりできるものだと思っています。大げさに言うと「私の魂(たましい)」かな。

○これからどんな作品をつくりたいですか?

これから作りたい作品を文字で書いたら本が何冊も書けちゃいます。そんな長い文章を読むのはたいへんです。見るのは一瞬ですむので、どうぞ、これから私が発表する作品を1つずつ楽しみに見て下さい。

○今までで印象深いできごとは?

先週、もう25年以上も前に作って設置した彫刻を、「もっと見晴らしの良い明るい場所に移設したいけど良いですか?」という嬉しい問い合わせを頂きました。もちろん、即答でOKを出しました。私はその作品をもう20年以上見ていませんが、これまでずっと大切にして下さっていたことも知りました。嬉しかったです。

戸田さんってどんな人?

○好きな作家や作品のこと教えて!

運慶、ドナテルロ、ゴヤ、遠藤周作、泉鏡花、山口誓子、茨木のり子etc…
至高の彫刻だと思うのは、エミル・アントワーヌ・ブールデル「アポロンの首」
音楽では、アントニオ・ヴィヴァルディ「RV630」とベートーベン「Romance No.2」
好きな文章は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)「くさひばり」

○どんなことが好きですか?

読書(ジャンルを問わず何でも読みます/乱読)、クラシック音楽鑑賞(特にバイオリン独奏)。それから、自動車でも自転車でも徒歩でも、目一杯、猛スピードで走ったり移動したりすることが好きです。

○小さな頃、どんな子どもだったの?なりたかったものはなんですか?

画家、昆虫学者。

○行ってみたい場所、また行きたい場所はどこですか?

イタリアのフィレンツェ近郊の5月の田園地帯、イギリスのロンドンの花に溢れた初春の公園、アイルランドの田舎の夕暮れ、インドの大河を見渡せる河岸。そして、黄砂で霞がかった春先の街を一望に見渡せる広島の秘密の山の崖の上。最近、なんだか、昔住んでいた場所や過ごした場所にまた行きたくなることが多くなりました。

○美しさとは何ですか?

言葉やその意味を超えて、一瞬で人の心を直接揺さぶるものです。

○なぜUBEビエンナーレに作品を出そうと思ったの?

宇部市との関わりは、1991年現代日本彫刻展に出品した29歳のときから既に30年近くになりました。言ってみれば、UBEは私のふるさとの1つなんです。だから、「作品を出す」以上に来たい場所の1つです。UBEに来たいから作品を出しています。

「天地を巡るもの/大気循環(Trinity)」作品のこと教えて!

○まるいところはくもですか?くもがひかってとてもきれいでした。(神原小学校4年生)

そうです。くもです。ひかっているくもです。そして、くもであると同時に、みずであり、くうきでもある。浮き上がっていて、降り注いでいて、漂っていて、ぐるぐる回っている。見る人が着ている服の色や季節や時間など周りの風景の色でも作品の色が変わるくもです。きれいだと言ってもらえてとてもうれしいです。ありがとう。\(^O^)/

「天地を巡るもの/大気循環(Trinity)」のここが好き!

○その近くに立つと、自分が22こうつって、22回命があるように感じたからです。(川上小学校4年生)

そうですか。映っている自分の姿をたくさん見つけましたね。22回命があるように感じたんですね。スゴい良い感性です。
せっかくなので秘密を教えますね。今度、作品を見るとき、22個の球の中には、隣の球も映っていて、その中の球にも、その中の隣の球が映っていて、そして、その中の中の球にも、その中の中の隣の球が・・・。幾つまで、どこまで見えますか?その中にも、あなたの姿が見つかりましたか?いつかまたぜひ教えて下さい。ありがとう。

○きらきらしていておうかんのようにきれいだったから。(原小学校4年生)

そうですか。きらきらしたおうかんのように見えたんですね。作品の下に入って見てくれたことがわかり嬉しいです。ありがとう。この作品は、作品の下に入って上を見上げる人にも、作品の下にいる人を外から作品と一緒に見る人にも、”良い感じ”に見えるように工夫して作りました。だから、私の作品は、ほかの多くの彫刻のように、作品だけを見るよりも、誰かと一緒に見る方がウンと素敵な作品に見えるはずなんです。いつか、またみんなと一緒に見て下さい。

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